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2017年2月14日火曜日

ブログ3周年だニャン!

今年も開始日の節分からは少々遅れてしまいましたが、このブログも3周年を迎えました!もんげ~、オラこんなこと3年もやってるのかズラ~。

これも時々見に来てくださるみなさんか、ガイ・ピアーズさんただおひとりのお陰と、本当に感謝しております。ピアーズさんは早く奥さんを殺した犯人が見つかるといいですね。私のブログが何かのヒントとなればと心から願っております。

さて、これまでの1周年、2周年とも、なんだか今年は一段とひどいのですが、どうも1年で最も上げるペースが落ちる時期ということもあり、これから先ブログを続けて行けるのだろうか、と不安になり、むやみにテンションを上げてこれから何をやります、とかやたら騒いでたりしたのですが、まあ3年目ともなると、これまで続いたのだから何とかなるだろう、ぐらいの感じで、今年は少しは落ち着いて語ってみようと思います。

このブログではこれまで主にハードボイルド/ノワール系を中心とした小説とアメリカ・イギリスのコミックについて読んだ感想なんかを書いてきたわけですが、小説についてはまだ全然足りないとは思いつつも、自分が読んでる方向の外郭ぐらいは語れるようになったかなあ、と思うのだけど、やっぱりコミックについてはまだまだだなあ、と思うわけです。で、まずはいまだに自分がやることなんかなあ、と時々思いつつもなぜそんなにコミックにこだわっているのかを書いてみようと思います。んーまあ、去年あたり書いてたのと同じようなことかもしれないけど、違うところもあるだろうし、更新という感じで。

まず自分が思うのは、今はデジタルやアマゾンなどでずいぶん手に入りやすくなっているのだから、外国のコミックはもっと読まれるべきだということ。それは別に外国のものが日本のものより優れてるとかいうつもりではなく、せっかくあるなら本当は潜在的にでも読みたい人はもっとたくさんいるのではないかと思う。日本はマンガの国なんだからね。で、その時一番の障害は言葉だと思われているけど、実はそうではなく、本当に重要なのはどこにどんなものがあるのかわからないということなのではないかと思うのです。結局言葉なんて後からどうにかなるもので、読みたいと思うものがあればとりあえず英語なのだったら義務教育で基本は教わってるのだから大抵の人は何とかなるはず。それでまたひとつそういう外国のコミックをもっと大枠で流れとして説明しようという方法もある。例えばどの時期を代表するのはどういう作家でどんな作品があるとか。自分にはそういう形で系統立てるようなことは到底できていないし、そういうものを批判したりするつもりでもないし、そういうことをやってくれる人をある意味尊敬している。でも自分の考えだと、結局のところは一つ一つのものをなるべく日本のマンガを語るのと同じようなスタンスで語ることによって、そこで日本のマンガ好きが読もうと思う作品になるのではないか、と思うわけです。まず、その辺の考えが基本で、それでなるべく沢山の作品について書きたいみたいなことをずっと言っててなかなかできていないのだけど。
で、それで実際どういうものについて書くか、ということなのだけど、これを言うと反感持つ人がいるかなと思って今まで書かなかったのだけど、自分もそっちのファンであることは前提として言うけど、やっぱりマーベル、DCってそのままでは日本ではある程度以上の読者を得られないと思う。多分それは日本で特撮ヒーロー物のファンがある程度以上増えないのと同じことではないでしょうか。それが「ガキっぽい」からなんていうのは所詮知識の許容量が限られるレベルの人の後付けっぽい理由づけであることを除いても、多分どこか日本人のメンタリティに合わないところがあるのだと思います。それってむしろ日本人の好きなヴィジランテが水戸黄門や暴れん坊将軍という方向にあるという方が関係があるのではないかと思うけど、その辺について深く考えるのも面倒なので省略。それ以外にもあまりにも量が多く、例えば一つの有名なシリーズを日本のマンガ好きが普通の考えとして1から読もうとしても到底不可能。で、途中のどこから読もうかと考えても、詳しい人に聞いてみてもそれぞれ意見も違うだろうし、そういう様々なことでずいぶん敷居が高くなってしまっている。それでやっぱり日本のマンガ好きとして入りやすいのはImage Comicsとかそのあたりの非ヒーロー物でそれほどシリーズも長大でないものだろうと思うので、その辺からなるべく沢山の作品について書きたいといつも言っているわけです。実際『ウォーキング・デッド』が翻訳されてそこからImageあたりを中心に今までと違う形でアメリカのコミックを読み始めた人もそれほど多くなくてもいるのだろうと思う。アメリカにおけるImage Comicsというのは、Imageで注目され始めた作家がマーベル、DCに起用され名をあげ、そしてImageでオリジナルのヒット作を出すという形になっていて、これって最近日本で出たアメコミについての本でもこんな感じで書かれていたと思うのだけど、ちょっとなかなか読む時間作れなそうでまだ買ってもいなくて正確な引用とかでないし、書名すら出てこなくて申し訳ないのだけど、とりあえず自分の解釈も同じだと思います。ただ、日本の方で考えるとそれが逆になり、例えば『Southern Bastards』を読んでJason Aaronっていい作家だな、と思ってそれでマーベルでも書いているならそっちを読んでみようか、というのが日本のマンガ好きの読み方になるのではないかと思うのです。マーベル、DCの作品というのはライター名が記されていてもどうしたって100%個人の作家によるストーリーではないわけで、その一方で日本のマンガはほとんどの場合はオリジナル作品ということもあるので、やっぱりその方向になると思う。
ただあんまりそういう考え方で拡げて行ってしまうとなんか既存のアメコミファンと自分が増えて行ってほしいと思う読者の間に変な溝みたいなのができてしまうかも、ということも危惧されるのだけど。やっぱりまだまだ人口の少ない村なのだから派閥など無しでみんな仲良くシーンの発展に努めて行くべきなのですよ。マーベル、DCなんてさあ、500年とか千年とか経ったらきっと三国志ぐらいに見られてるすごいものなのですよ。その当時世界で一番でかい国の2つの勢力が競い、世界中ぐらいの規模で最高のライターとアーティストを集め作った超長大かつ複雑で果てしない数のキャラクターの入り乱れる英雄物語なのですから。これ読まないって絶対損だと思わない?三国志は実在の歴史に基いて書かれているとか関係ないよ。ほとんどの人は物語が面白いから読んでいるのだから。未来人よ、(そのくらいのスパンではほぼ)リアルタイムで読んでるオレを見やがれ、なのですが、ホントに見たら子孫のセワシくんが心配してタイムマシンでネコ型ロボット派遣してくるかも…。
時々、自分は日本でどんなアメコミが読まれているのか全く調べたりもしていない、というようなことを書くのだけど、それは実は小説の方で出てきてしまうハードボイルド版偏屈度500%アッププラス常時バーサク状態の神林しおり的人格ゆえのスタンスではなく、ちょっとあまりそっちの方が見えてこういうのは結構多くの人が読んでるのだな、みたいなので空気を読んでしまうのはまずいだろうなと思うからです。やっぱり日本で流通しているアメコミの情報の多くは、日本で言えば少年ジャンプあたりのところで他があまりにも少ない状態ではないかと思う。それでもっと他のを出したいと思うのだけど、その辺もっと見えてきてしまうと私のような者は結局日本で言えば青林堂のような方向に走ってしまうと思う。まあ、今の状態でも漫画ゴラク方面にすぐ飛んでしまう傾向もあるのだけど。実際2000ADとかだと読んでる人本当に少なそうだから多少デタラメでも勢いで始められたけど、『Hellblazer』とか見えてたら怖くてやれないよ。別にどこかに怖い人がいて怒られるとか思ってるのではないけど、やっぱり特に日本人ってそういうもので、自分程度で何か言うときっと笑われるだろうから恥ずかしいな、という考えで発言しないもっと知識を持ってる人だっているのだと思う。その結果入口のところの情報があまりなくなってしまっているというのが今の現状なのではないでしょうか。他のあらゆる局面では役に立たない、空気も読まず社交性もあんまり高くないボンクラこそが今の日本のアメコミシーンには必要とされているのだ!と思いたい…。当面はこの空気を読まない怖いもの知らず状態を維持しつつ、日本のマンガ好きに海外のコミックを広めたい、という大変貧弱ながらの草の根運動を続けていきたいと思うのです。
あと、もしかしたら自分がマーベル派、DC派の向こうを張ってImage派みたいなことをやってると思う人いるのかもしれないけど、そういうことではないです。Image Comics、ごめん、そろそろ日本語表記でもいいのか。イメージ・コミックスっていうのはマーベル、DCのビッグ2(今どっちが勝っているのかは知らないけど)の次に並ぶ第3位のパブリッシャーで出版点数も多く有名作家も多いため、まずここからという感じでいてモタモタしてなかなか先に進めないでいるだけのことです。まあ結局まだ日本では少年ジャンプぐらいのところしかアメコミ情報がない、などと批判めいて言えるところではないわけで。今年こそはIDW、Dark Horse、Dynamite、Boom、Oni Press、そしてFantagraphicsなどなどのなるべく沢山の作品について書いていけるよう頑張りたいと思います。フランスとかのも英訳が進んで読めるのが増えてきたし、そっちも読みたいなあ。あと漫画ゴラク方面も。ZenescopeやAvatarの別レーベルのBoundless Comicsのバッド・ガール物などについてもいつか書くぞ!
そして最初に戻るのだけど、自分がなんでこんなにコミックについてこだわるかというと、結局マンガがすごく好きで、せっかくあるのだからもっと普通の日本のマンガ好きの人にも読ませたいということなのでしょうね。自分はComixologyができて全然知らなかったぐらいのアメリカのマンガに触れられるようになって、もう宝の山を見つけたような気分になって、今でも結構そんなところもあるわけで。多分そんな気分になる人はもっと多いと思う。まあそんなわけで、またこれでいいのかなあ、と悩みつつもこれからも続けて頑張って行こうと思うのです。

それではここからは小説の方について。ちょっと冒頭にこちらについては何かやり遂げたみたいな雰囲気で書いてしまったけど、実際はやっぱりまだまだで、それでも結構いい本沢山読めたなみたいに思えるところまでは読めた気もして、少しそんな気分になってしまったのでしょう。そんなわけで今年はちょっとこの一年に読んだもののベストみたいのを並べてみようかと思います。ちなみに並んでいる順番は読んだ順で順位みたいなものではありません。


ベスト5とかにまとめるべきか、との考えもチラッと浮かんだけど、自分が外したものを誰かが拾ってくれる可能性とかがあるわけでもないので、これだけは外せんというものを7作並べました。
まずCharlie Hardieトリロジーで、いきなり3作で反則臭いけど、これはこのコンセプトで3部作を作ったというところに大きな意味があるものなので、まとめさせてもらいました。本当に楽しい3部作なのだけど、うーん、最後やっぱりネタばらしすぎた気がするので、できれば何の情報も無しに読んでもらいたいと思います。
ジョニー・ショー『Dove Season』については、とにかくこの作者、作品に会えてよかったよ、とひたすら思える素晴らしいハードボイルド。自分がこの作品にハードボイルド以外のタグをつけていないのは、ノワール要素が少ないとかせせこましい理由とかではなく、これこそ現代の最も優れた新しいハードボイルドなのだ、と強く訴えたいため。Jimmy Veeder Fiascoシリーズ第3作『Imperial Valley』も来月出版予定。邦訳ノンシリーズ『負け犬たち』も、ジョニー・ショーの作品が面白くないなどということは絶対あり得ないので必ず読んでね!
Matthew Stokoe『High Life』。恐るべきノワールの極北というべきか、灼熱地獄というべきか。とにかく本当にすごいとしか言いようのない作品。ジャンル小説というより文学寄りに思われるStokoeで、他のはクライム・ノベル・ジャンルではないのかもしれないけど、そんなの関係なくすべての作品を読んでその行く末を見届けたいと思う作家です。これを教えてくれたジャック・テイラー/ケン・ブルーウンさんには本当に感謝しています。
Ray Banks『Saturday's Child』。マンチェスターのチンピラ探偵Cal Innesシリーズ第1作!こーゆーのが読みたかったんだよ!この作者、シリーズ、作品について書けたのがまず成果なのである、ぐらいに言いたい気分なのだ。何とか今年中にシリーズ全部読むぐらいのつもりで頑張って早く続き読みたい。
Adam Howe『Die Dog or Eat the Hatchet』。すごい才能をみつけた!読んでなんか大当たりでも引いちゃった気分になった中編集。Adam Howe君については間もなく最新長編第1作『Tijuana Donky Showdown』について詳しく書きます。
Anonymous-9『Hard Bite』。アノ9姐さんの凄さについてはなんだかいまだにきちんと語る言葉が見つからないもどかしい未熟者なのでありますが、結局かなり偏った感じのこの自分のベストの中でも、あの奇抜とも見える設定ながら最も万人に楽しめるであろうこの作品を作り上げる恐るべき実力。お伝えした通り、現在活動休止中で心配なのでありますが、その後の動きとしては今年1月にこちらのシリーズがデジタルを含めた形でDown & Outから発売という形になったのと、昨年末ぐらいにレビューのお礼が1件ツィッターに上がったぐらい。お前ストーカーか…?そろそろご復帰の兆しではないかと願いつつお待ちしておりやす。
ケン・ブルーウン『Priest』。この前書いたばかりで滑り込みという感じですが。ジャック・テイラーが翻訳されないなんてなんて悲しい国なのだろう。でもどうせ出たら出たで偏狭な「ミステリ」評価とかされるからいいや。とあまりに好きな本に関しては性格の悪い面が出てしまう私ですが。

以上がこの1年のベストということですが、まあかなり偏った嗜好の私のセレクトですので、他の本が面白くなかったり劣っているなどということではありません。そんな言い訳しなくてもいいのだろうけど、自分のせいで他の本がずさんに扱われたら嫌なんだよ。本が好きだから。あとほぼ1年中騒いでいるAnthony Neil SmithさんのBilly Lafitteシリーズが入っていないのはこの1年で読めてないからです。バカ者っ!全然読めてないじゃん…。もっと努力せねば…。

この一年では少しですが翻訳されたものについても書いたのですが、その中で特に言っておきたいのがトム・ボウマン『ドライ・ボーンズ』C・B・マッケンジー『バッド・カントリー』。なんか年末辺りには毎年恒例の本年度ベストみたいなのが出たけど、その中でこの2作に点を入れている人が全然いなかったところから見て、大変悲しいことですが今の「読書のプロ」とやらには全くハードボイルド読みがいなくなってしまったのでしょうね。この2作こそがそのクオリティにおいても新しく日本に紹介されたという意味でも2016年の翻訳ハードボイルドにおける最重要作だったのに。新しいものがなけりゃジャンルに未来なんてないんだよ。コナリー、ウィンズロウなんて放っといても売れるんだからそっち置いといてもこれ推さなきゃ。それにしてもこうなってしまうとなかなか次の翻訳の望みは低そうになってしまった2作家ですが、まずマッケンジーの2作目はいつまでたってもペーパーバック版を出してくれん。えー?だってあっちのハードカバーって、マンガばっか読んでる美人OLさんの脳天にクラッシュしたらむちうち、もしくは頭蓋骨陥没を招きかねない代物じゃないすか。そして遂にヘンリー・ファレル第2作『Fateful Mornings』の6月出版がアナウンスされたボウマンですが、こちらも今のところハードカバーのみ。日本人虚弱なんだし日本の家狭いんだよ。積み重ねたこんなのが落下してきたらやってらRenta!じゃ済まないんだって…。ん~、でもいつか何とかして読むぞ!あとその他クリス・ホルム『殺し屋を殺せ』グレッグ・ハーウィッツ『オーファンX 反逆の暗殺者』など雑に扱われ適当な感想が投げられがちな良作に少しでも光が当てられたのならよいのだけれど。良いシリーズなので何とか続編の翻訳を。どーせ自分の読みたいのなんて日本で出ないんだから、とか言いつつ週2回ぐらいは書店に寄る私。しかし毎週恒例のヤンマガ、ヤンジャン等の表紙のオッパイ比較リサーチだけならコンビニでも足りるのだ!いつだって思いがけない良作との出会いを期待しているのです!またなんかいいのあったら書くからね!

その他にこの一年で読んだものとしては、ずいぶん前に一度書いたDead Manシリーズも第2集読み終わってるのだけど後回しにしてるうちに延々と書けてなかったり。一本100ページぐらいと手軽に読めるし好きなシリーズなので、早く再開しなければと思っています。あと、時々思い出したように言い出すデストロイヤーについては、今年こそはやっと未訳部分に到達して色々と書けることになります。あと毎年目標のように言ってるけど、今年こそはホラーとか他のジャンルももっと読みたい。SFとかも。少しずつでも読むのは早くなってきているのだけど、その一方でモタモタしてなかなか書く方が進まなかったり。ここのところ遅れてるせいで書けてない本も溜まってきてるし…。この前にちらりと書いた、小学生の下校通学路のこの白い線の外はマグマで死ぬ!ルール並みに厳粛かつ重要な私の読書スケジュールについてもですが、Billy Lafitteが一年以上読めていないという大惨事からも鑑み、もう少しフレキシブルな運用が必要かと…。まあそんな感じで今年も多くの面白い本を見つけてなるべく多く書いて行きたいなあと思っております。

ちょっとまたコミックについての能書きがやたら長くなってしまったので、とりあえず早く撤収せねばという感じでいったん終わったのですが、そっちの方のことをもう少しだけ。なんか去年はコミック関連のアプリショップのことについて、とアーティスト単体についても書いて行きたいと言ってたのだけど、やっぱり難しいですね。とりあえずはとにかくなるべく多くの作品を、というのを目標にその中で書いて行くしかないかなと思っています。
あと、コミックなのですから何とか画を見せたいといつも考えているのですが、多分パブリッシャーのサイトのプレビュー的なのなら使ってもOKじゃないかと思って探してみても、少し古いのだと見つからなかったりでどうにも難しい。ちょっとここはもう自分で何とかしようかと思ってるところで、一応批評目的以外は…というような注意書きがどこでもあって、批評に値するかは別として志だけはそれに近い方向として許してもらえまいか、と悩んでいるところです。注意を受けたらすぐに削除するという方向で、少しやってみるかもしれません。それでいいってもんじゃないのはわかってるのだけど、やっぱりカバー以外の画も見せられないとなあ。うむむ…。
なーんだかずいぶんでかいこと言ってるけど結局個人でやってるブログなんてたかが知れてるよなあ、とは思うのだけど、そんなこと言ってても何も動かんからなあと思い、微力ながら日本で海外のコミックの読者が一人でも増えるように頑張って行きたいと思います。いつの日か翻訳のコミックが翻訳のミステリ小説ぐらいに出版されるようになり、オレの読みたいやつが全然出ないんだよ、ばかやろー、って私のような誰かがキレてブログを始めるぐらいになるといいなあと思います。

とまあ、こんな感じで3周年記念のバカ話もそろそろ終わりにします。んー多分少しは落ち着いて語ったんじゃない?いつもながら手あたり次第の罵倒や、しょーもない冗談にやれやれと思いつつ、こんなものまで付き合ってくださった皆さんには本当に感謝しております。私も大人として罵倒はなるべく控えるべきかと常々思っておりますが、コドモとしてしょーもないギャグは一切やめるつもりはありません。私もたくさんの妖怪とトモダチになるという重大な使命の他にも色々とやらなければならないこともあり、ついつい遅れがちになったりもしますが、これからも何とか続けて行きたいと思っていますので、やれやれと思いつつも今後もお付き合いいただければ幸いです。この一年もあんまりまとまった時間もなく画も描けなかったのだけど、とても画を描くのが好きな私なのでいつか余生の余暇の時間は画を書いて暮らしますのでブログを止めます、みたいなことになったらごめんなさい。あっ、でも彼女ができて止めることになっても誰からも文句言われる筋合いはないんだからねっ!みんな幸せに暮らしてんだろっ!ちぇっ!そこのリア充とかいう部類のお前っ!私の何かによる心の傷が癒えるまで一週間ぐらい出入り禁止だっ!


'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、 Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。

2017年2月8日水曜日

Priest -ジャック・テイラー第5作!-

やっと登場の現代最強のハードボイルド・シリーズ、ケン・ブルーウン作ジャック・テイラー・シリーズ第5作、『Priest』(2006)です。ジャックさんこんなに遅れてごめん。

さて、これまで未訳のシリーズ第3作『The Magdalen Martyrs』(2003)、第4作『The Dramatist』(2004)についても書いてきたのですが、ネタバレを避けるため登場人物のその後などについてはなるべく曖昧にしてきました。しかし、そろそろそれでは話を進めにくくなってきたのと、前作最後の衝撃的な展開が今作に続くため、ちょっとここらでまとめて説明しておくことにしました。その前作の最後の衝撃的事件についても書かなければならないので、これから第4作『The Dramatist』を読もうと思っている人は、読み終わるまでこの先を絶対読まないでください。ケン・ブルーウン/ジャック・テイラーの熱烈なファンとしての勧告であります。

まず、第1作から登場していた元警官でジャックの協力者となっていたブレンダン。この人は第3作でとある事情で亡くなっています。その後ブレンダンから話を聞いていた警官の姪リッジがジャックの許を訪れ、その後の関係が始まります。リッジはかなり強面のレズビアンの女性で、基本的にはジャックのような人間を嫌っていますが、叔父と同様に最後の部分では信頼に足りる数少ない人物だと思っているようです。
そしてジャックの母は、第3作の途中で病に倒れ、第4作で亡くなっています。

そして第4作の最後、事件解決後、ジャックは第1作からおなじみの行きつけの店「ネスター」の2階で、2人が店に出ている間ジェフとキャシーの間に第2作で産まれたダウン症の娘セリーナ・メイの様子を見ています。障害を持って生まれたセリーナ・メイですが、その後は両親の愛を受け幸せに育ち、ジャックも彼女を宝のように思っています。しかし、ジャックが解決した事件のことなどを考え、ほんの数分目を離したすきに、まだ歩けないセリーナ・メイは窓につかまりよじ登り、そして2階の窓から消えて行きます…。
作品の最後、ジャックはあるパブで酒の注がれたグラスをじっと見つめ続けています。

あまりにも衝撃的なラスト。ジャックはどうなるのか?それでは第5作『Priest』です。


【Priest】

そして、5か月後ジャックは一人の黒人によってこの世に戻される。
精神療養施設に収容され、5か月の間外界から精神を遮断し、椅子に座り壁を見つめ続けていたジャックは、気さくに話しかけてくる陽気な黒人男性により、なぜかその状態から脱し外界とのつながりを取り戻す。セリーナ・メイの死後、パブで酒を見つめながら座り続けていたジャック。彼にはその後の記憶がなかった。その彼をそこからこの施設に連れてきたのは、リッジであったことを聞かされる。そしてその見つめ続けていた酒にはなぜか手が付けられていなかった。
冒頭のシーンには、胸を打つものがあります。しかし、その後に語られるジャックの恩人の末路はあまりにも悲しい。

退院の日、リッジが迎えに現れる。相変わらずギクシャクした間柄ながら、ジャックはリッジの口から自分がこの世を去っていた5か月の間のことを知る。ジェフは「ネスター」を閉め、今では酒浸りになっていた。キャシーはジェフと別れ、ロンドンへ帰ったとのこと。そして、あのいつでもジャックに優しかったベイリーズ・ホテルのオーナー、ミセス・ベイリーが亡くなり、ホテルも閉鎖されていた…。

その頃、ゴールウェイでは教会の懺悔室で司祭が殺害され首を切断されて発見されるという事件が起こり、いまだ犯人は見つかっていなかった。リッジはジャックにその調査を頼みたい口ぶりで話すが、口ごもる。
宗教心が高く、教会がコミュニティーの中心であったアイルランドですが、近年相次いで司祭の侍者を務める少年への性的虐待が発覚し、教会への尊敬も失墜しています。殺害された司祭も同様の事件で訴えられており、犯人は過去の被害者ではないかと推測されています。

宿無しになってしまったジャックに、リッジは現在ゴールウェイを離れている友人の高級アパートまで世話してくれる。とりあえずはそこに腰を落ち着け、久々のゴールウェイを歩いていたジャックは、宿敵マラキ神父と出くわす。だが、マラキは今回だけは神妙に司祭の事件の調査を頼んでくるのだった。
しかしまずは当座の金もないジャック。職を探し、警備会社の面接からの帰り、ベイリーズ・ホテルのメイド、ジャネットと再会し、ミセス・ベイリーがジャックに遺産としてお金と彼女が住んでいたアパートを遺していてくれたことを知る。

ねぐらと懐の心配がなくなり、ジャックはマラキの依頼を受けることになる。まずは過去に殺された司祭から虐待を受けたと訴えた3人の男のリストを受け取る。
また一方ではリッジからも自分をつけまわしているストーカーの正体を探ってほしいとも頼まれる。

こうして探偵稼業に復帰したジャックの前に、コーディーという青年が現れる。帰宅したアパートの前で暴漢に襲われたジャックを助けたコーディーは、探偵の相棒にしてほしいと頼み込む。過去の様々な経験から、まずは彼に不信を抱くジャックだったが、次第に自分が持つことのできなかった息子に対するような感情を抱き始めるのだが…。


まずは、お馴染み「ミステリ」ってとこから片付けちまいましょうか。今回も我々読者とおんなじくらい頭の悪いジャックさんは、事件の周辺をうろうろと歩き回り、グダグダな感じで話を聞き、安直な断定とこいつが嫌いとかの理由から安易な結論に飛びつきそうになったりしながら、犯人を一向に見つけられない。そして事件はとんでもない結末をむかえる。いやあ全く素晴らしい!きれいに事件が解決されるストーリーや、その方向に動くキャラクターばかりがまるでそれが唯一の正しい形のように考えられ、「ミステリとして」というような言葉でその形にあっているかどうかで作品の優劣を決めてしまうような、狭量な日本の「ミステリ」読者にはもったいなすぎる優れたミステリ作品です。もー翻訳されなくたっていいやーいだっ!

そして、今回のテーマは、あまりにも深く傷つけられ、ゆがめられてしまった心は2度と元には戻らない、というあまりにも悲しい事実。過去の虐待の被害者に直面し、その深いトラウマに現在も苦しむ姿を見ると、まるで残虐な司祭の殺害事件が正しい行為であるかのようにも見えてしまうほど。そしてジャックも、セリーナ・メイを死に至らしめてしまったことにより、加害者として、その傷つけられ破壊されてしまった心に向かい合わなければならなくなる。そしてそれらがジャックの生まれ育ったゴールウェイという街の2度と元には戻すことのかなわない変化と重ね合わせるように語られて行きます。

本好きで毎回色々な本の話を聞かせてくれるジャックさんですが、今回は精神的にもあまり本を読む余裕がなく、シリーズお馴染みの各章冒頭の引用も、主にジャックさんが現世復帰後にまず行った施設の図書室で、絶対に本を盗むんじゃねえぞ!と言われてただちにパクッたパスカルの『パンセ』からのもの。あとKBと書かれたものもあって、色々調べたのだけどどうにもKBの正体がわからないまま読み終わったのですが、これ書き始めて思いついたけど、もしかしてケン・ブルーウンという人からの引用?
それでも最後の方で、お馴染みの本屋さんがジャックさんのためにとっといてくれたデイビッド・グーディスと、それに連なる感じでユージン・イジーについて少し語られます。どちらもそんな最期を迎えたのかとは不勉強ながら知りませんでした。特にイジーの衝撃的でミステリアスな死については驚いた。あと、イジーについては調べててニック・ガイターノと同一人物だと初めて知ったり。晩年少しの間本名のそっちの方で出してた時のらしいけど、日本じゃそっちの方が有名なの?ガイターノ読んでなかったよ…。しかし、イジーは『友はもういない』だけ読んでいて、なんか漠然と良かったことだけは覚えていて翻訳の出た残り2冊も未読で持っているのだけど、内容が全く思い出せない。なんかあんまりよくないときに読んだように思う。人生色々あるからね。今回はいくら本バカでも人生本が読めないときもあるよね、ってことなのでしょうか、ブルーウンさん。

そして、今作も最後に衝撃的な事件が起こります。一体ジャックさんはどうなってしまうのだろうか…。

と続きもかなり気になるところなのですが、当方ではここでジャックさんとはしばしのお別れです。と言っても今回も前から一年以上空いてるのだが…。なぜかというとここからケン・ブルーウン作品としては日本全く未紹介のトム・ブラント刑事&ジェームス・ロバーツ警部シリーズ『The White Trilogy』に取り掛かるからなのです!『The White Trilogy』とはジャック・テイラーシリーズよりも以前に始まったトム・ブラント刑事&ジェームス・ロバーツ警部シリーズの初期3作、『A White Arrest』、『Taming the Alien』、『The McDead』により構成される3部作で、ケン・ブルーウンの名を世に知らしめた初期の代表作です。ちなみに映画化された『Blitz』はその次の第4作となります。この3作現在は『The White Trilogy』として合本で出ているのみのようで、随分前にはKindle版も出ていたのだけど、現在は日本からは購入できません。なんかラッキーで販売終了直前に買えたのだけど。ですが思いついてちょっと調べてみたらKobo版は2千円台と少し高めですが販売されていました。電子書籍版をという人はそちらからどうぞ。実は私の読書スケジュールってこのジャック・テイラーシリーズを中心に立てられていて、次のジャック・テイラーを読むまでにあれとあれとあれだけは読んであれは次のを読むまで読まない、みたいに考えていて、まあその間に色々と入ってきちゃってこのざまというわけです。ホントは年2冊ぐらいに思ってるのだけど…。未訳3冊読んだらこれ読もう、と決めたのもずいぶん昔だし…。とまあそんなわけで次のジャックさんは『The White Trilogy』を読み終わってからで、目標は一年以内!何とか春までには『A White Arrest』に取り掛かる予定です。で、ジャック・テイラーシリーズ第6作『Cross』は当分先になるのだが、その時には今回の衝撃のラストについても容赦なく書いちゃうことになるので気を付けてね。

さてここでシリーズ恒例になりましたいやがらせ企画、架空邦題についてでありますが、『酔いどれ相棒を持つ』とか『酔いどれ遺産を受ける』あたりが想像されるのですが、この辺になってくるともっと適当で『酔いどれと司祭』みたいになっちゃうかも。いずれにしてもすべて却下!シンプルに『司祭』か『司祭の首』みたいのも考えたけど今回はあまり原題にこだわると日本語にしたとき原題の持つ意味があまり伝わらなくただ古めかしく感じられるものになってしまいそう。ここは内容から考えて『罪と報復の街』なんてのはいかがでしょうか。

あと最後に、以前少し触れましたジャック・テイラー・シリーズのTVムーヴィー・シリーズなのですが、ちょっと以前あまりよく調べずアメリカ製作とか書いてしまったのですが、よく調べてみたらアイルランドでの製作でした。すみません。2011年と2013年に3作ずつ、第6作まで作られていましたが、昨年2016年にさらに3作、第9作まで製作されています。以前はその谷間にあたり、DVDなども少し入手困難気味ぐらいだったのであまり詳しく書かなかったのですが、現在は昨年新シリーズが作られたばかりということで比較的入手しやすいようです。よくわからないけど多分リリースはDVDのみで、それぞれのシーズンが3枚組セットになったものだと思います。アイルランド製作なのだけど、販売もそうかはわからないのですが、現在アマゾンで上の方に表示されるのは多分イギリス版でリージョン2で日本のプレイヤーでも再生できると思います。ちょっと日本のアマゾンにはその辺のデータが無くて確実ではないのだけど、一応AmazonUKの方で見たところそうなっていました。アメリカ版(リージョン1)も出ていて、リストのものがUK版でアメリカ版はジャケットが違っているのでご注意ください。


【その他おしらせの類】
さて、『オーファンX 反逆の暗殺者』であります。うむ!面白かった!これから本当に楽しみなサスペンス・アクション・シリーズの第1作です。主人公エヴァン・スモークは孤児として育った少年時代にその才能を見出され、ある特殊な任務に就くべく「オーファンX」として訓練・教育される。そして現在、彼はロサンジェルスのマンションのペントハウスを密かに要塞のように改造した住まいに暮らし、特別な口コミでのみ伝えられる番号にかかってくる電話の、全ての望みを無くした人からの絶望的な救済を求める依頼を受ける、という謎の「ミッション」を仕事としている。彼はいったい何者で、何のためにそのような仕事をしているのか?
まず最初に書いたように、この作品ハードボイルドとかいうよりはサスペンス・アクションというようなものだと思います。もちろん「冒険小説」とかじゃねーからっ。サスペンスとかってちょっと曖昧に使われがちな言葉だったりするけど、自分の解釈では主人公が進行中の謎を含んだ危機の中で行動し、解決を探って行くストーリー、というように考えています。そしてこの作者グレッグ・ハーウィッツ、本当にそのサスペンスの組み立てが上手い。さすがベストセラー作家という感じ。まずは上に書いた謎の部分は交互に描かれる現在と過去が200ページぐらいのところで合わされ、彼の正体が明かされる。そしてそこに現在進行中の謎が投げかけられる。その後は残りページの半分、そして更にその半分、というような展開でひとつの謎が明らかになるとその次、そして更にどんでん返しが投げかけられる。その辺の手際の良さはまるで腕のいいマジシャンの手管のよう。うーん、ハーウィッツ、ナメてたよ、ってわけではないのだけど、実はこの人の作品読むのこれが初めてだったり。最初の邦訳が『ER襲撃』で、オビにマイケル・クライトン以来の衝撃とか書いてあって、一方でまあ自分的にそれほど優先度高くないか、と思ってしまったのと、また一方で、何を隠そう私TVシリーズ『ER』の大ファンで、なんかカーター先生やアビーさんが右往左往する様子が頭に浮かび、すでに見たもの気分になってしまったのがつまづきか。遡ってちゃんと読まねば。
自分の感想ではこの作品に似た方向なのは、TVシリーズにもなったデクスター・シリーズ(ヴィレッジブックスより3作まで邦訳あり。2015年の第8作『Dexter Is Dead』が最終作なのかな?)あたりではないかと思います。サイコ・サスペンスがメインのそちらに対して、この『オーファンX』はアクションに特化したもので、一旦動き出すと切れのいい見せ場も多いのだけど、どちらもサスペンスで読ませるという部分は共通していると思う。そして正体を隠したある種のヴィジランテというところだったり、同様にある意味非人間的である主人公エヴァンが周りの人とどう接して行くかというようなシリーズ大枠の部分で、このオーファンX・シリーズではその辺がどうなって行くのかも楽しみなところ。あと、このシリーズは「父と子の物語」ってやつがテーマとなっているのだけど、昔サム・リーヴスとかバカみたいに持ち上げてた「父と子の物語」好きはどうしたの?子供大きくなっていうこと聞かなくなってそんな気分じゃなくなっちゃった?なーんかまた「マーク・グリーニーとくらべれば…」みたいな芸のないこと言ってる人もいるけど、敢えて強引に比べるならば、こちらの方がもっと間口が広く、女性にも楽しめるようなもっと売れていい作品です。
とシリーズ的にも今後の展開が楽しみな作品で、本国ではシリーズ第2作『The Nowhere Man』も先月に発売されていて、是非とも続きも日本でも出して欲しいところなのだけど、どうなんかね?KADOKAWA的にはあんまり売れてないのかなあ。6月に出るウィンズロウの新作『The Force』は当然出るだろうし(カルテルの続きは2018年とのこと)、5月予定のハミルトン、ニック・メイソン第2作も多分というところだろうけど、これはどうなるのか?映画が公開されてからが勝負なのだろうか。こーゆーシリーズを本屋で見つけて、ワーイ、続きが出たぞ、ってニコニコして楽しみに買って帰りたいのですよ。何とか頼みますよ、KADOKAWAさん。
こちらは以前にも書いた翻訳ミステリー大賞シンジケートのサイトで未訳のハプレナ第1作について解説してくれた三角和代氏による翻訳です(第二十七回はジョー・R・ランズデールの巻(執筆者:三角和代))。訳者あとがきのハーウィッツによるコミック部分に少し補足。ハーウィッツは2008年からマーベル、DCのビッグ2でいくつかの作品を手掛けていて、割と単発や数号のミニシリーズ的なものが主ですが、中で大きいのはDC The New 52の10~29号を手掛けた『Batman: The Dark Knight』でしょう。ちょっと『Batman』について説明すると、Batmanは『Batman』と『Detective Comics』の2つのシリーズがメインのものとして初期から途中でリランチとかもありながら現在まで続いていて、そのほかに色々なBatmanを主人公としたシリーズが発行されていて、こちらは2011年のDCのリランチThe New 52の一つとして始まり2014年まで29号で続いたそういうシリーズのひとつです。まあ一つのバットマン外伝というような解釈で良いのではないかと思います。ちょっとややこしいのだけど映画の『ダークナイト』やフランク・ミラーの有名なコミック『ダークナイト・リターンズ』とは基本的には関係ありません。うわ、ちょっと説明なのにずいぶんややこしく長くなってるが…。ハーウィッツによるコミックを見てみたいという人はそちらの『Batman: The Dark Knight』のTPB、Vol.2~4あたりが良いかと思います。ハーウィッツは2014年以降はコミックの方からは少し離れているのですが、もしかしたら映画が当たれば今のアメリカだとどこかから『オーファンX』の作者自身によるオリジナル・コミック・シリーズとか出るかもしれませんね。
なんだかうっかり書名を沢山上げてしまい、名前を出してしまった以上ちゃんと書かなければつまらなかったと思われるかも、という強迫観念でしばらく続いていました翻訳本についてもやっと片付きました。まあ今後は未訳に専念する予定ですが、またせっかく出たのに雑に扱われそうなのが出たときには騒いで色々罵倒したりするつもりです。と言っても読もうと思ってるの多いし、コミックも読みたいしで、日本語のを読む時間あまりないのだけど。竹書房、マグノリア、ハーパーあたりはもっとちゃんと押さえて行きたいのだけど。とりあえずは頑張ろうと思うのです。

続いて個人的に注目の新刊情報です。まずはあのドゥエイン・スウィアジンスキーが世界一のベストセラー作家ジェイムズ・パタースンと組んで一儲け企む!こちら『The House Husband: BookShots』James Patterson with Duane Swierczynskiは先月発売されたばかりの作品です。James Patterson’s BookShotsというのはパタースンが昨年から始めたシリーズというかレーベルみたいなもの、とゆーかパタースンの出版社なのかな?色々な作家と組んで、150ページぐらいの手軽に読めて安価なもの、というようなコンセプトで、ミステリ、ロマンスといったジャンルで月に4冊ぐらいのペースで次々と発行されているものらしいです。(詳しくはこちら Bookshots)。まあ月に4冊とか出てるんじゃパタースンの名があっても当然原案・企画のレベルで、実際書いているのはWithの方の作家ということになるでしょう。そこにあのスウィアジンスキーが参加ということ。コミックのライターとしても原案付きのものにも慣れていて腕のいいスウィアジンスキーですから、こちらでもスウィアジンスキー味で楽しませてくれることは確実でしょう。価格もペーパーバックでも300円台とお手頃で、せっかくなのでそっちを買いました。『Canary』、『Revolver』と読まねばならん新作も溜まってしまっているスウィアジンスキーですが、とりあえずはこのお手軽に読めそうなこっちをボチボチ先に読んでみよう。とか思ってたらなんと3月にはさらにBookShotsから『The Shut-In』なる新作の予定が!これは何とかペースを上げていかなければ!
そしてついさっき入ったばかりの最新ニュースですが、スウィアジンスキーさんの現在最新作である『Revolver』がInternationai Association of Crime Writers North American Branchによって選ばれるハメット賞の2016年の候補にノミネートされたそうです。他にはハミルトンの『ニック・メイスン』とかもノミネートされています。(IACW/NA:News/NOMINEES FOR 2016 NORTH AMERICAN HAMMETT PRIZE ANNOUNCED)
そして続いてはあの英2000ADの巨匠Pat Mills初の小説作品が登場!こちら『Serial Killer (Read Em and Weep Book 1)』はKevin O’Neillとの共著で先月Mills自身の個人パブリッシャーであるMillsverse Booksから出版された巨匠Millsの初の小説作品です。Book 1となっているようにRead Em and Weepシリーズの第1巻となるものです。こちらそもそもはTVシリーズとして結構前に企画されたもので、話しも進みストーリーも固まってきたところで局上層部から「テレビ向きではない」との理由でボツになってしまったというもの。その後も別の局やメディアを転々としたものの実現に至らず、それならばと小説という形で出版に踏み切ったというのがこの作品です。内容は1970年代のコミック誌の編集者を主人公としたブラック・コメディということ。『Serial Killer』というタイトルから結構ミステリ寄りのものではないかな、とも期待されます。まあ大物巨匠Millsですから既存の出版社から出すという方法もできたのですが、放送媒体へ向けての製作過程で様々な提案(舞台をアメリカにしたら、とかMills自身の自伝的要素を加えたらとか)を出され、またそれ一からやんのやだから、という理由で自身の出版社からの出版と決めたということです。Millsverse BooksというのはMillsがフランスで出版した作品『Requiem Vampire Knight』シリーズを英語圏で出版するため、割と最近設立されたパブリッシャーです。『Requiem Vampire Knight』シリーズは英語圏では元々はHeavy Metalが出版していたのですが、色々あって(その辺についてもいずれちゃんと調べて書こう)ちゃんと出版されなくなってしまったので、版権を引き上げ自分で出すことにしたらしい。この辺の『Serial Killer (Read Em and Weep Book 1)』出版についての経緯は、昨年末発売の2000AD Prog2011クリスマス特大号(ドレッドがサンタを撃ち落としている表紙!)に、小説の一部プレビューとともに掲載されていました。共著のKevin O’Neillと言えば『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』などを描いたイギリスの有名なアーティストですが、イラストを描いているのかな、と思ったら「THIS IS A TEXT NOVEL AND DOES NOT CONTAIN ANY ILLUSTRATIONS」という記述があったので、どういう感じの共著なのかも気になるところです。まあ2000ADとミステリ方面の両方のファンというのは日本では私以外にあまりいないとは思いますが、個人的にはぜひ読みたいし語る価値のある本だと思いますので、早いうちに読んで書く予定です。
と、まあ、言ってるそばから2冊もイレギュラーで早く読みたい本が入ってきて、これではいつ次のジャックさんに出会えるやらという感じ…。スウィアジンスキーのBookShotsはもっと出そうだし、Millsの方はシリーズ物だし…。うむむ、やはり読書スケジュールを考え直すべき時なのかも…。

なんだかモタモタとやってるうちに急用が入り一週間近く身動きとれなくなったりして、また大幅に遅れてしまいました。Oolipoとかにも進展があったので書こうと思っていたのだけどそれはまた次の機会に。なかなかうまくいかない時期でもありますが、また頑張ってやって行く所存でありますので、またよろしくね。ではまた。


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