Translate

2017年2月8日水曜日

Priest -ジャック・テイラー第5作!-

やっと登場の現代最強のハードボイルド・シリーズ、ケン・ブルーウン作ジャック・テイラー・シリーズ第5作、『Priest』(2006)です。ジャックさんこんなに遅れてごめん。

さて、これまで未訳のシリーズ第3作『The Magdalen Martyrs』(2003)、第4作『The Dramatist』(2004)についても書いてきたのですが、ネタバレを避けるため登場人物のその後などについてはなるべく曖昧にしてきました。しかし、そろそろそれでは話を進めにくくなってきたのと、前作最後の衝撃的な展開が今作に続くため、ちょっとここらでまとめて説明しておくことにしました。その前作の最後の衝撃的事件についても書かなければならないので、これから第4作『The Dramatist』を読もうと思っている人は、読み終わるまでこの先を絶対読まないでください。ケン・ブルーウン/ジャック・テイラーの熱烈なファンとしての勧告であります。

まず、第1作から登場していた元警官でジャックの協力者となっていたブレンダン。この人は第3作でとある事情で亡くなっています。その後ブレンダンから話を聞いていた警官の姪リッジがジャックの許を訪れ、その後の関係が始まります。リッジはかなり強面のレズビアンの女性で、基本的にはジャックのような人間を嫌っていますが、叔父と同様に最後の部分では信頼に足りる数少ない人物だと思っているようです。
そしてジャックの母は、第3作の途中で病に倒れ、第4作で亡くなっています。

そして第4作の最後、事件解決後、ジャックは第1作からおなじみの行きつけの店「ネスター」の2階で、2人が店に出ている間ジェフとキャシーの間に第2作で産まれたダウン症の娘セリーナ・メイの様子を見ています。障害を持って生まれたセリーナ・メイですが、その後は両親の愛を受け幸せに育ち、ジャックも彼女を宝のように思っています。しかし、ジャックが解決した事件のことなどを考え、ほんの数分目を離したすきに、まだ歩けないセリーナ・メイは窓につかまりよじ登り、そして2階の窓から消えて行きます…。
作品の最後、ジャックはあるパブで酒の注がれたグラスをじっと見つめ続けています。

あまりにも衝撃的なラスト。ジャックはどうなるのか?それでは第5作『Priest』です。


【Priest】

そして、5か月後ジャックは一人の黒人によってこの世に戻される。
精神療養施設に収容され、5か月の間外界から精神を遮断し、椅子に座り壁を見つめ続けていたジャックは、気さくに話しかけてくる陽気な黒人男性により、なぜかその状態から脱し外界とのつながりを取り戻す。セリーナ・メイの死後、パブで酒を見つめながら座り続けていたジャック。彼にはその後の記憶がなかった。その彼をそこからこの施設に連れてきたのは、リッジであったことを聞かされる。そしてその見つめ続けていた酒にはなぜか手が付けられていなかった。
冒頭のシーンには、胸を打つものがあります。しかし、その後に語られるジャックの恩人の末路はあまりにも悲しい。

退院の日、リッジが迎えに現れる。相変わらずギクシャクした間柄ながら、ジャックはリッジの口から自分がこの世を去っていた5か月の間のことを知る。ジェフは「ネスター」を閉め、今では酒浸りになっていた。キャシーはジェフと別れ、ロンドンへ帰ったとのこと。そして、あのいつでもジャックに優しかったベイリーズ・ホテルのオーナー、ミセス・ベイリーが亡くなり、ホテルも閉鎖されていた…。

その頃、ゴールウェイでは教会の懺悔室で司祭が殺害され首を切断されて発見されるという事件が起こり、いまだ犯人は見つかっていなかった。リッジはジャックにその調査を頼みたい口ぶりで話すが、口ごもる。
宗教心が高く、教会がコミュニティーの中心であったアイルランドですが、近年相次いで司祭の侍者を務める少年への性的虐待が発覚し、教会への尊敬も失墜しています。殺害された司祭も同様の事件で訴えられており、犯人は過去の被害者ではないかと推測されています。

宿無しになってしまったジャックに、リッジは現在ゴールウェイを離れている友人の高級アパートまで世話してくれる。とりあえずはそこに腰を落ち着け、久々のゴールウェイを歩いていたジャックは、宿敵マラキ神父と出くわす。だが、マラキは今回だけは神妙に司祭の事件の調査を頼んでくるのだった。
しかしまずは当座の金もないジャック。職を探し、警備会社の面接からの帰り、ベイリーズ・ホテルのメイド、ジャネットと再会し、ミセス・ベイリーがジャックに遺産としてお金と彼女が住んでいたアパートを遺していてくれたことを知る。

ねぐらと懐の心配がなくなり、ジャックはマラキの依頼を受けることになる。まずは過去に殺された司祭から虐待を受けたと訴えた3人の男のリストを受け取る。
また一方ではリッジからも自分をつけまわしているストーカーの正体を探ってほしいとも頼まれる。

こうして探偵稼業に復帰したジャックの前に、コーディーという青年が現れる。帰宅したアパートの前で暴漢に襲われたジャックを助けたコーディーは、探偵の相棒にしてほしいと頼み込む。過去の様々な経験から、まずは彼に不信を抱くジャックだったが、次第に自分が持つことのできなかった息子に対するような感情を抱き始めるのだが…。


まずは、お馴染み「ミステリ」ってとこから片付けちまいましょうか。今回も我々読者とおんなじくらい頭の悪いジャックさんは、事件の周辺をうろうろと歩き回り、グダグダな感じで話を聞き、安直な断定とこいつが嫌いとかの理由から安易な結論に飛びつきそうになったりしながら、犯人を一向に見つけられない。そして事件はとんでもない結末をむかえる。いやあ全く素晴らしい!きれいに事件が解決されるストーリーや、その方向に動くキャラクターばかりがまるでそれが唯一の正しい形のように考えられ、「ミステリとして」というような言葉でその形にあっているかどうかで作品の優劣を決めてしまうような、狭量な日本の「ミステリ」読者にはもったいなすぎる優れたミステリ作品です。もー翻訳されなくたっていいやーいだっ!

そして、今回のテーマは、あまりにも深く傷つけられ、ゆがめられてしまった心は2度と元には戻らない、というあまりにも悲しい事実。過去の虐待の被害者に直面し、その深いトラウマに現在も苦しむ姿を見ると、まるで残虐な司祭の殺害事件が正しい行為であるかのようにも見えてしまうほど。そしてジャックも、セリーナ・メイを死に至らしめてしまったことにより、加害者として、その傷つけられ破壊されてしまった心に向かい合わなければならなくなる。そしてそれらがジャックの生まれ育ったゴールウェイという街の2度と元には戻すことのかなわない変化と重ね合わせるように語られて行きます。

本好きで毎回色々な本の話を聞かせてくれるジャックさんですが、今回は精神的にもあまり本を読む余裕がなく、シリーズお馴染みの各章冒頭の引用も、主にジャックさんが現世復帰後にまず行った施設の図書室で、絶対に本を盗むんじゃねえぞ!と言われてただちにパクッたパスカルの『パンセ』からのもの。あとKBと書かれたものもあって、色々調べたのだけどどうにもKBの正体がわからないまま読み終わったのですが、これ書き始めて思いついたけど、もしかしてケン・ブルーウンという人からの引用?
それでも最後の方で、お馴染みの本屋さんがジャックさんのためにとっといてくれたデイビッド・グーディスと、それに連なる感じでユージン・イジーについて少し語られます。どちらもそんな最期を迎えたのかとは不勉強ながら知りませんでした。特にイジーの衝撃的でミステリアスな死については驚いた。あと、イジーについては調べててニック・ガイターノと同一人物だと初めて知ったり。晩年少しの間本名のそっちの方で出してた時のらしいけど、日本じゃそっちの方が有名なの?ガイターノ読んでなかったよ…。しかし、イジーは『友はもういない』だけ読んでいて、なんか漠然と良かったことだけは覚えていて翻訳の出た残り2冊も未読で持っているのだけど、内容が全く思い出せない。なんかあんまりよくないときに読んだように思う。人生色々あるからね。今回はいくら本バカでも人生本が読めないときもあるよね、ってことなのでしょうか、ブルーウンさん。

そして、今作も最後に衝撃的な事件が起こります。一体ジャックさんはどうなってしまうのだろうか…。

と続きもかなり気になるところなのですが、当方ではここでジャックさんとはしばしのお別れです。と言っても今回も前から一年以上空いてるのだが…。なぜかというとここからケン・ブルーウン作品としては日本全く未紹介のトム・ブラント刑事&ジェームス・ロバーツ警部シリーズ『The White Trilogy』に取り掛かるからなのです!『The White Trilogy』とはジャック・テイラーシリーズよりも以前に始まったトム・ブラント刑事&ジェームス・ロバーツ警部シリーズの初期3作、『A White Arrest』、『Taming the Alien』、『The McDead』により構成される3部作で、ケン・ブルーウンの名を世に知らしめた初期の代表作です。ちなみに映画化された『Blitz』はその次の第4作となります。この3作現在は『The White Trilogy』として合本で出ているのみのようで、随分前にはKindle版も出ていたのだけど、現在は日本からは購入できません。なんかラッキーで販売終了直前に買えたのだけど。ですが思いついてちょっと調べてみたらKobo版は2千円台と少し高めですが販売されていました。電子書籍版をという人はそちらからどうぞ。実は私の読書スケジュールってこのジャック・テイラーシリーズを中心に立てられていて、次のジャック・テイラーを読むまでにあれとあれとあれだけは読んであれは次のを読むまで読まない、みたいに考えていて、まあその間に色々と入ってきちゃってこのざまというわけです。ホントは年2冊ぐらいに思ってるのだけど…。未訳3冊読んだらこれ読もう、と決めたのもずいぶん昔だし…。とまあそんなわけで次のジャックさんは『The White Trilogy』を読み終わってからで、目標は一年以内!何とか春までには『A White Arrest』に取り掛かる予定です。で、ジャック・テイラーシリーズ第6作『Cross』は当分先になるのだが、その時には今回の衝撃のラストについても容赦なく書いちゃうことになるので気を付けてね。

さてここでシリーズ恒例になりましたいやがらせ企画、架空邦題についてでありますが、『酔いどれ相棒を持つ』とか『酔いどれ遺産を受ける』あたりが想像されるのですが、この辺になってくるともっと適当で『酔いどれと司祭』みたいになっちゃうかも。いずれにしてもすべて却下!シンプルに『司祭』か『司祭の首』みたいのも考えたけど今回はあまり原題にこだわると日本語にしたとき原題の持つ意味があまり伝わらなくただ古めかしく感じられるものになってしまいそう。ここは内容から考えて『罪と報復の街』なんてのはいかがでしょうか。

あと最後に、以前少し触れましたジャック・テイラー・シリーズのTVムーヴィー・シリーズなのですが、ちょっと以前あまりよく調べずアメリカ製作とか書いてしまったのですが、よく調べてみたらアイルランドでの製作でした。すみません。2011年と2013年に3作ずつ、第6作まで作られていましたが、昨年2016年にさらに3作、第9作まで製作されています。以前はその谷間にあたり、DVDなども少し入手困難気味ぐらいだったのであまり詳しく書かなかったのですが、現在は昨年新シリーズが作られたばかりということで比較的入手しやすいようです。よくわからないけど多分リリースはDVDのみで、それぞれのシーズンが3枚組セットになったものだと思います。アイルランド製作なのだけど、販売もそうかはわからないのですが、現在アマゾンで上の方に表示されるのは多分イギリス版でリージョン2で日本のプレイヤーでも再生できると思います。ちょっと日本のアマゾンにはその辺のデータが無くて確実ではないのだけど、一応AmazonUKの方で見たところそうなっていました。アメリカ版(リージョン1)も出ていて、リストのものがUK版でアメリカ版はジャケットが違っているのでご注意ください。


【その他おしらせの類】
さて、『オーファンX 反逆の暗殺者』であります。うむ!面白かった!これから本当に楽しみなサスペンス・アクション・シリーズの第1作です。主人公エヴァン・スモークは孤児として育った少年時代にその才能を見出され、ある特殊な任務に就くべく「オーファンX」として訓練・教育される。そして現在、彼はロサンジェルスのマンションのペントハウスを密かに要塞のように改造した住まいに暮らし、特別な口コミでのみ伝えられる番号にかかってくる電話の、全ての望みを無くした人からの絶望的な救済を求める依頼を受ける、という謎の「ミッション」を仕事としている。彼はいったい何者で、何のためにそのような仕事をしているのか?
まず最初に書いたように、この作品ハードボイルドとかいうよりはサスペンス・アクションというようなものだと思います。もちろん「冒険小説」とかじゃねーからっ。サスペンスとかってちょっと曖昧に使われがちな言葉だったりするけど、自分の解釈では主人公が進行中の謎を含んだ危機の中で行動し、解決を探って行くストーリー、というように考えています。そしてこの作者グレッグ・ハーウィッツ、本当にそのサスペンスの組み立てが上手い。さすがベストセラー作家という感じ。まずは上に書いた謎の部分は交互に描かれる現在と過去が200ページぐらいのところで合わされ、彼の正体が明かされる。そしてそこに現在進行中の謎が投げかけられる。その後は残りページの半分、そして更にその半分、というような展開でひとつの謎が明らかになるとその次、そして更にどんでん返しが投げかけられる。その辺の手際の良さはまるで腕のいいマジシャンの手管のよう。うーん、ハーウィッツ、ナメてたよ、ってわけではないのだけど、実はこの人の作品読むのこれが初めてだったり。最初の邦訳が『ER襲撃』で、オビにマイケル・クライトン以来の衝撃とか書いてあって、一方でまあ自分的にそれほど優先度高くないか、と思ってしまったのと、また一方で、何を隠そう私TVシリーズ『ER』の大ファンで、なんかカーター先生やアビーさんが右往左往する様子が頭に浮かび、すでに見たもの気分になってしまったのがつまづきか。遡ってちゃんと読まねば。
自分の感想ではこの作品に似た方向なのは、TVシリーズにもなったデクスター・シリーズ(ヴィレッジブックスより3作まで邦訳あり。2015年の第8作『Dexter Is Dead』が最終作なのかな?)あたりではないかと思います。サイコ・サスペンスがメインのそちらに対して、この『オーファンX』はアクションに特化したもので、一旦動き出すと切れのいい見せ場も多いのだけど、どちらもサスペンスで読ませるという部分は共通していると思う。そして正体を隠したある種のヴィジランテというところだったり、同様にある意味非人間的である主人公エヴァンが周りの人とどう接して行くかというようなシリーズ大枠の部分で、このオーファンX・シリーズではその辺がどうなって行くのかも楽しみなところ。あと、このシリーズは「父と子の物語」ってやつがテーマとなっているのだけど、昔サム・リーヴスとかバカみたいに持ち上げてた「父と子の物語」好きはどうしたの?子供大きくなっていうこと聞かなくなってそんな気分じゃなくなっちゃった?なーんかまた「マーク・グリーニーとくらべれば…」みたいな芸のないこと言ってる人もいるけど、敢えて強引に比べるならば、こちらの方がもっと間口が広く、女性にも楽しめるようなもっと売れていい作品です。
とシリーズ的にも今後の展開が楽しみな作品で、本国ではシリーズ第2作『The Nowhere Man』も先月に発売されていて、是非とも続きも日本でも出して欲しいところなのだけど、どうなんかね?KADOKAWA的にはあんまり売れてないのかなあ。6月に出るウィンズロウの新作『The Force』は当然出るだろうし(カルテルの続きは2018年とのこと)、5月予定のハミルトン、ニック・メイソン第2作も多分というところだろうけど、これはどうなるのか?映画が公開されてからが勝負なのだろうか。こーゆーシリーズを本屋で見つけて、ワーイ、続きが出たぞ、ってニコニコして楽しみに買って帰りたいのですよ。何とか頼みますよ、KADOKAWAさん。
こちらは以前にも書いた翻訳ミステリー大賞シンジケートのサイトで未訳のハプレナ第1作について解説してくれた三角和代氏による翻訳です(第二十七回はジョー・R・ランズデールの巻(執筆者:三角和代))。訳者あとがきのハーウィッツによるコミック部分に少し補足。ハーウィッツは2008年からマーベル、DCのビッグ2でいくつかの作品を手掛けていて、割と単発や数号のミニシリーズ的なものが主ですが、中で大きいのはDC The New 52の10~29号を手掛けた『Batman: The Dark Knight』でしょう。ちょっと『Batman』について説明すると、Batmanは『Batman』と『Detective Comics』の2つのシリーズがメインのものとして初期から途中でリランチとかもありながら現在まで続いていて、そのほかに色々なBatmanを主人公としたシリーズが発行されていて、こちらは2011年のDCのリランチThe New 52の一つとして始まり2014年まで29号で続いたそういうシリーズのひとつです。まあ一つのバットマン外伝というような解釈で良いのではないかと思います。ちょっとややこしいのだけど映画の『ダークナイト』やフランク・ミラーの有名なコミック『ダークナイト・リターンズ』とは基本的には関係ありません。うわ、ちょっと説明なのにずいぶんややこしく長くなってるが…。ハーウィッツによるコミックを見てみたいという人はそちらの『Batman: The Dark Knight』のTPB、Vol.2~4あたりが良いかと思います。ハーウィッツは2014年以降はコミックの方からは少し離れているのですが、もしかしたら映画が当たれば今のアメリカだとどこかから『オーファンX』の作者自身によるオリジナル・コミック・シリーズとか出るかもしれませんね。
なんだかうっかり書名を沢山上げてしまい、名前を出してしまった以上ちゃんと書かなければつまらなかったと思われるかも、という強迫観念でしばらく続いていました翻訳本についてもやっと片付きました。まあ今後は未訳に専念する予定ですが、またせっかく出たのに雑に扱われそうなのが出たときには騒いで色々罵倒したりするつもりです。と言っても読もうと思ってるの多いし、コミックも読みたいしで、日本語のを読む時間あまりないのだけど。竹書房、マグノリア、ハーパーあたりはもっとちゃんと押さえて行きたいのだけど。とりあえずは頑張ろうと思うのです。

続いて個人的に注目の新刊情報です。まずはあのドゥエイン・スウィアジンスキーが世界一のベストセラー作家ジェイムズ・パタースンと組んで一儲け企む!こちら『The House Husband: BookShots』James Patterson with Duane Swierczynskiは先月発売されたばかりの作品です。James Patterson’s BookShotsというのはパタースンが昨年から始めたシリーズというかレーベルみたいなもの、とゆーかパタースンの出版社なのかな?色々な作家と組んで、150ページぐらいの手軽に読めて安価なもの、というようなコンセプトで、ミステリ、ロマンスといったジャンルで月に4冊ぐらいのペースで次々と発行されているものらしいです。(詳しくはこちら Bookshots)。まあ月に4冊とか出てるんじゃパタースンの名があっても当然原案・企画のレベルで、実際書いているのはWithの方の作家ということになるでしょう。そこにあのスウィアジンスキーが参加ということ。コミックのライターとしても原案付きのものにも慣れていて腕のいいスウィアジンスキーですから、こちらでもスウィアジンスキー味で楽しませてくれることは確実でしょう。価格もペーパーバックでも300円台とお手頃で、せっかくなのでそっちを買いました。『Canary』、『Revolver』と読まねばならん新作も溜まってしまっているスウィアジンスキーですが、とりあえずはこのお手軽に読めそうなこっちをボチボチ先に読んでみよう。とか思ってたらなんと3月にはさらにBookShotsから『The Shut-In』なる新作の予定が!これは何とかペースを上げていかなければ!
そしてついさっき入ったばかりの最新ニュースですが、スウィアジンスキーさんの現在最新作である『Revolver』がInternationai Association of Crime Writers North American Branchによって選ばれるハメット賞の2016年の候補にノミネートされたそうです。他にはハミルトンの『ニック・メイスン』とかもノミネートされています。(IACW/NA:News/NOMINEES FOR 2016 NORTH AMERICAN HAMMETT PRIZE ANNOUNCED)
そして続いてはあの英2000ADの巨匠Pat Mills初の小説作品が登場!こちら『Serial Killer (Read Em and Weep Book 1)』はKevin O’Neillとの共著で先月Mills自身の個人パブリッシャーであるMillsverse Booksから出版された巨匠Millsの初の小説作品です。Book 1となっているようにRead Em and Weepシリーズの第1巻となるものです。こちらそもそもはTVシリーズとして結構前に企画されたもので、話しも進みストーリーも固まってきたところで局上層部から「テレビ向きではない」との理由でボツになってしまったというもの。その後も別の局やメディアを転々としたものの実現に至らず、それならばと小説という形で出版に踏み切ったというのがこの作品です。内容は1970年代のコミック誌の編集者を主人公としたブラック・コメディということ。『Serial Killer』というタイトルから結構ミステリ寄りのものではないかな、とも期待されます。まあ大物巨匠Millsですから既存の出版社から出すという方法もできたのですが、放送媒体へ向けての製作過程で様々な提案(舞台をアメリカにしたら、とかMills自身の自伝的要素を加えたらとか)を出され、またそれ一からやんのやだから、という理由で自身の出版社からの出版と決めたということです。Millsverse BooksというのはMillsがフランスで出版した作品『Requiem Vampire Knight』シリーズを英語圏で出版するため、割と最近設立されたパブリッシャーです。『Requiem Vampire Knight』シリーズは英語圏では元々はHeavy Metalが出版していたのですが、色々あって(その辺についてもいずれちゃんと調べて書こう)ちゃんと出版されなくなってしまったので、版権を引き上げ自分で出すことにしたらしい。この辺の『Serial Killer (Read Em and Weep Book 1)』出版についての経緯は、昨年末発売の2000AD Prog2011クリスマス特大号(ドレッドがサンタを撃ち落としている表紙!)に、小説の一部プレビューとともに掲載されていました。共著のKevin O’Neillと言えば『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』などを描いたイギリスの有名なアーティストですが、イラストを描いているのかな、と思ったら「THIS IS A TEXT NOVEL AND DOES NOT CONTAIN ANY ILLUSTRATIONS」という記述があったので、どういう感じの共著なのかも気になるところです。まあ2000ADとミステリ方面の両方のファンというのは日本では私以外にあまりいないとは思いますが、個人的にはぜひ読みたいし語る価値のある本だと思いますので、早いうちに読んで書く予定です。
と、まあ、言ってるそばから2冊もイレギュラーで早く読みたい本が入ってきて、これではいつ次のジャックさんに出会えるやらという感じ…。スウィアジンスキーのBookShotsはもっと出そうだし、Millsの方はシリーズ物だし…。うむむ、やはり読書スケジュールを考え直すべき時なのかも…。

なんだかモタモタとやってるうちに急用が入り一週間近く身動きとれなくなったりして、また大幅に遅れてしまいました。Oolipoとかにも進展があったので書こうと思っていたのだけどそれはまた次の機会に。なかなかうまくいかない時期でもありますが、また頑張ってやって行く所存でありますので、またよろしくね。ではまた。


●関連記事

Magdalen Martyrs -ジャック・テイラー第3作!-

The Dramatist -ジャック・テイラー第4作!-



●Max Fisher and Angela Petrakosシリーズ

●ドゥエイン・スウィアジンスキー/BookShots

●巨匠Pat Mills

'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、 Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。

0 件のコメント:

コメントを投稿